大河に一滴を。

大河ドラマの感想を中心に、歴史への思いを綴ります

「青天を衝け」第4回の感想

3月も半ばを過ぎ、ようやく桜の便りが聞こえはじめました。
気温が下がった後に暖かくなると咲くと聞いたことがあるような気がするので、どんな条件で咲くのか調べてみるとありました。「600度の法則」というのものが!
2月からの気温を足していき600度になる頃が桜の開花時期になり、開花予想に使われている方法なのだとか。

へそ曲がり? 栄一

前置きが長くなりましたが、今回も栄一の自伝に必ず描かれるエピソードが取り上げられました。親父さんの名代として代官のところへ行き、代官の指図を承服しない、というアレです。栄一の人となりを考えるときには、なくてはならない出来事ですからね。
ドラマでは子ども時代から頑固な性格の面をクローズアップしてきました。この後、度々出てくるとは思いますが、まずは栄一らしい頑固の真骨頂を見せる形です。
村のみんなで協力して少しずつ溜めたお金を支配者ということだけで奪っていく。自分も汗水垂らしたお金でもありますから、簡単に「仰せの通りに」なんて言えるわけがないと思っているのです。だから、父に相談してからにすると若輩者の自分の立場を利用もします。
現代だったら、大きな依頼だったら持ち帰って上司に相談します、っていうのは当たり前なんですが、江戸時代ですもんね。上の身分の言うことはすぐ承諾して、口答えなんかもってのほかです。「何のための名代だ」って怒鳴られたってしょうがありません。
でも、私たちは、栄一にすごく同情できます。現代人の感覚なら、大事なお金を有無も言わせず取っていく方が悪いですよ。借金もしてないのに、借金してるのはそっちの方だろってね。
栄一はやっぱりすごい人ですね。大河ドラマになるくらいなんだから、わかりきったことですが、このように現代的な考えをすでに持っていた人です。江戸から、明治、大正、昭和と栄一の生きる時代は変わっても、たぶん全然ぶれなかったのではないでしょうか。
これまで幕末のドラマはなかなか複雑でとっつきにくかったですよね。現代的な感覚を持っていた栄一の物語は共感しやすくて、これからどんな形で栄一の成長を見ることができるのか楽しみです。

藤田東湖の記念碑

そうそう水戸藩のことも取り上げなくてはいけません。
エンディングに放送されるドラマの舞台の観光案内で、ちらと小石川後楽園が取り上げられました。梅の花が見事で、結構好きなお庭です。が、なんで東京のお庭っていうか、大名庭園って言われるところは面積が広いところが多いのでしょうか。もともとお屋敷があったから? 池も大きい、築山も大きい、あの橋を渡りたいのにめっちゃ歩かなきゃ行けない、とかいろいろ思います。コンパクトな京都のお庭の方がゆっくり過ごせます(個人の感想です)。
それはさておき、水戸藩上屋敷があった小石川後楽園は、中国趣味のお庭だそうで、中国風の橋や神仙の住まう島などがあります。カモもたくさんいます。冬の暖かい日は、キジバトが背後で見つめる私に構うことなく、一心不乱に落ち葉を足でかき分けて、虫を探していました。水田がある日本の田園風景や一般的な日本庭園も作ってあり、広大な敷地に好きなものを詰め込みました、という感じ?
その敷地の隅にひっそりと佇む石碑がありました。近づいてみると、藤田東湖の記念碑でした(正式には「藤田東湖護母致命の処」。もとあった場所からこの場所へ移されています)。その時は藤田東湖って聞いたことがあるけど誰だったっけ、くらいの印象。碑文には安政の大地震で母親をかばって梁の下敷きになって亡くなったということが書いてありました。そういえば水戸学の学者だ。
この瞬間、東京で「江戸時代」を初めて感じました。大空襲と都市化により江戸の面影を感じられる場所が身近に少なかったからかも知れません。しかも、亡くなった場所の石碑を立てるというのは、尋常なことではありません。多くの人たちが東湖の死に寄せた嘆きの大きさが偲ばれます。
ドラマでは藤田東湖は私の水戸学の学者のイメージに反して(?)、やさしく実直そうな雰囲気。お母さんのために命を投げ出しそうです。
水戸学は尊皇攘夷の思想を推し進めた学問で急進的だと思っていたのでちょっと意外ですが、儒学がベースだから不思議はないともいえるのでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
このドラマの舞台、幕末から現在まで150年余り。江戸時代は250年ほど続いているから、江戸時代の方が長いくらい。
変化のスピードは江戸時代は鎖国もしていたからゆっくりだったとは思いますが、それと比べると幕末から現在までは本当にものすごいスピードです。
激動の時代の流れにどんな風に栄一が乗っていくのか、しっかり最後まで見届けたいですね。

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なんでお刺身のわさびは梅にのってんの?